News一覧


Phoenix OSAQA

掲載日:2008年5月2日

弦楽四重奏 育成に第一歩 報告・JSQ公開講習会・公演



客席
京都・大阪・東京・名古屋 若手9団体、「奥義」学ぶ

ザ・フェニックスホールは、弦楽四重奏に携わる若い演奏家の育成と聴衆拡大を図る教育啓蒙プロジェクト「Phoenix OSAQA(フェニックス・オーサカ)」を3月26日(水)から3日間、ホールで初開催しました。ベートーヴェン作品の演奏で「国内ナンバーワン」の評価を得ているジャパン・ストリング・クヮルテット(JSQ)がマスタークラス(講習会)を開催、若手の弦楽四重奏団9グループが学びました。レッスンは無料公開し、予想を大幅に超える数の室内楽ファンがおいでになりました。
(ザ・フェニックスホール )




久保陽子ヴァイオリン2本とヴィオラ・チェロ各1本で構成される室内楽、弦楽四重奏。ベートーヴェンをはじめとする古今の作曲家が、交響楽や管弦楽作品と同様に実に多くの名作を残し、欧米の都市では盛んに演奏されています。しかし、関西はじめ日本ではオーケストラコンサートや、ピアノ、ヴァイオリンのリサイタルなどに比べると、公演数は多いとは言えません。また関西ではこれまで、活動拠点の異なる若い弦楽四重奏団が共に学ぶ機会がなく演奏家・聴衆双方の裾野が広がりづらい面がありました。私たちホールは、関西における「室内楽の殿堂」として先人たちの残した「名作の森」を多くの方に知ってもらいたい。こう私たちは考え、弦楽四重奏の振興に向けた事業を試みることにしました。

菅沼準二講師役のJSQは久保陽子さん・久合田緑さん(以上ヴァイオリン)、菅沼準二さん(ヴィオラ)、岩崎洸さん(チェロ)といった、正に文字通り日本を代表するベテラン奏者がつくっています。3月25日(火)に行われたコンサートは出演10回目の節目にあたり、私たちはこの公演を始点に事業を組みました。

講習を受けた弦楽四重奏団は9団体。昨夏以来の公募の末決まったもので、地元の大阪、京都のほか、東京や名古屋からも参加がありました。20歳代が中心。音大生が軸でしたが、名古屋フィルハーモニー交響楽団・中部フィルハーモニー交響楽団に在籍するグループの参加もありました。
 
久合田緑講習会は、一コマ70分。午前10時から午後6時まで断続的に、ホール本体とリハーサル室で同時並行的に開かれました。題材は、JSQが得意とするベートーヴェンの弦楽四重奏曲。グループによって選曲は異なりましたが、JSQのメンバーは「弦楽四重奏の聖典」とも呼ばれるこれら作品に取り組み続けているだけあって、どの曲でも作曲の背景説明、解釈から指や弓の動かし方、さらには様々な筋肉の使い方など、演奏に関わる「奥義」の数々が伝えられました。
 
また最終日28日(金)午後には、これら受講生の修了コンサートをザ・フェニックスホールで無料開催。聴衆の皆さんやJSQの見守る中、若者たちは懸命に演奏を展開。公演は3時間に及びましたが、どのグループも額に汗を浮かべての熱演に、会場からは大きな拍手が送られました。
 
岩崎洸受講生からは、「先生方の指導で視野が広くなり、また他のカルテットの音も聴くことができ、刺激になった」といった声が寄せられました。また、講習会をご覧になった聴衆からも「レベルが高くびっくり。アドバイスで音が変わる様子が興味深かった」といった感想をいただきました。私たちホールは2008年度以降も、この事業を継続開催致します。次回開催は、2009年3月下旬。講師は同じくJSQです。
 
この事業のポイントは「聴いて育てる未来の名門」にあります。若い演奏家は、多くの、耳の肥えた方に聴いてもらうことで成長します。また逆に、レッスンの模様をお聴きになることで来聴の皆さまも、弦楽四重奏の面白さが一層、増すことでしょう。次代の名手を、育ててください。どうか次回も御来聴願えますよう、心からお願い申し上げます。

写真は、会場の様子と指導にあたるJSQのメンバー。上から久保陽子、菅沼準二、久合田緑、岩崎洸の各氏。(撮影:木村美保ほか ザ・フェニックスホール)